こんにちは、ミヤヒロです。
本日は、今後日本でも伸びてくる「デジタル証券」について、解説したいと思います
題材にさせて頂く記事は、2021/11/11付、日経新聞朝刊の9面に掲載されています
この記事はこんなことを知りたい方にオススメです
金融業界に馴染みがなくても、「デジタル証券」や「STO」の仕組について理解したい
日本のデジタル証券の最新動向について知っておきたい
ではさっそく、日経新聞に掲載されていた記事を要点をしてご紹介させて頂きます
※後ほど用語について解説しますので、一先ず読み飛ばしてもらってかまいません
- 東海東京フィナンシャル・ホールテイングス(以下、東海東京FH)は、タイや韓国などのアジアの証券取引所と提携し、不動産を裏付けにしたデジタル証券の発行支援や、アジア各国のデジタル証券を販売しやすくする枠組みを整える
- 東海東京FHは、シンガポール取引所などが出資する「ADDX」の運営会社と組み、日本で「ADDXジャパン(仮称)」を設立し、このADDXジャパンをハブにして、アジア各国にデジタル証券のネットワークを構築する
- 東海東京FHがアジア連合をつくる背景は、今後のデジタル証券の市場拡大を見越している
(調査によると、19年の約500億円 から25年には約900兆円 に拡大すると予想されている) - デジタル化された証券はST(セキュリティ・トークン)と呼ばれ、不動産のように目に見えるものだけでなく映画やゲームの版権などを小口化して販売できるため、個人投資家にとっては、これまで購入できなかった金融商品のへ投資機会が増える
記事の全文が読みたい方はコチラ
知らない単語ばかりで、記事の作成に時間がかかってしまいました ^^;
時間を要した分この解説をザッと読むだけで、今後「デジタル証券」に関するニュースが、少しでも理解しやすくなると思います
デジタル証券とは
ブロックチェーン? 有価証券? 普段この言葉に馴染みがない方に向け、簡単に説明していきます
ブロックチェーン(分散型台帳)
ブロックチェーン(分散型台帳)は、インターネットに繋がったコンピューターが、互いに取引記録を確認し合いながら、分散して取引の記録を行う技術です
取引履歴を記録しているデータをブロックと呼び、このブロックが時系列でチェーンのように繋がっているため、ブロックチェーンといいます
その特徴から、一部のデータを改ざんしても、そのブロックと繋がっている過去のブロックを書換えないと整合性とれません
またその過去のブロックを書換えても、連鎖しているブロックを永遠に書換え続けないといけないため、実質的に改ざんは不可能と言われています
「ビットコイン」のような仮想通貨を作る技術として、一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか
これまで金融決済の取引を管理・記録処理するシステムは、高度なセキュリティや記録の改ざん対策が必要なため、専用のシステム構築し、そこで集中して記録処理することが一般的でした
ブロクチェーンは、特定の管理者や専用システムは不要なため、管理コストが圧倒的に低いが特徴です
また、一極集中ではなく分散されているため障害にも強くなります
先ほど述べましたデータの改ざんが極めて難しいという特徴も非常に重要です
有価証券とは
有価証券とは、「株式(株券)」「社債や国債」「小切手」「手形」、のように財産的な価値を保証する証書のことです
ブロックチェーンとは違い、目にする機会もあるのでイメージしやすいですよね
ここまでで、なんとなくデジタル証券のイメージはつきましたでしょうか?
あまり難しくとらえ過ぎず、紙で存在してたころの株券や、小切手や手形等などの紙媒体の有価証券がブロックチェーンという新しい技術を使い電子化(ペーパレス)されたぐらいで認識してもらえたら大丈夫です
この「ブロックチェーン技術でデジタル化されていること」が、これまでの有価証券と大きく異なるポイントとなります
ST(セキュリティ・トークン) STO(セキュリティ・トークン・オファーリング)とは?
デジタル証券の理解には、「ST」、「STO」の理解は欠かせません
順を追って詳しく説明します
ST(セキュリティ・トークン)
ST(セキュリティ・トークン)は、デジタル化された証券そのもの(デジタル証券と同義) と理解して問題ありません
通常トークンは、ブロックチェーン技術を用いて発行された「仮想通貨」のことを指します
また、セキュリティは「証券」を意味します
もう少し正確に説明するなら、ブロックチェーンにより暗号資産化(デジタル化)された有価証券 となります
このSTの資金調達が進んだ背景には、金融商品取引法の改正がありました
改正により、仮想通貨は「暗号資産」と名称を変え、株式と同じ金融商品の扱いとなりました
これにより、従来の有価証券より金融資産を小口化し素早く発行できるようになり、届出した業者は、個人向けにこの権利を販売できるようになりました
STO(セキュリティ・トークン・オファーリング)
そして「STO」は、ST(セキュリティ・トークン)の技術を活用した資金調達のことです
似た言葉で、仮想通貨を発行し資金調達をするICO(イニシャル・コイン・オファーリング)、株式を新規上場させて資金調達を行うIPO(イニシャル・パブリック・オファーリング)がありますが、同じ資金調達の一種です
STOの特徴は、これまで個人投資家向けへの販売が難しかった投資資産を、小口化をして資金調達を行っている点です
企業が保有している「海底ケーブル」「通信設備」「不動産」などの有形資産、「映像やゲームコンテンツの販売権」などの無形資産も、金融商品にして販売することが簡単にできます
STOのメリット
STOという資金調達法が、これまでの資金調達と比べて優れている点について、最後に簡単に説明します
- 24時間取引が可能
- ブロックチェーン技術による高い安全性が確保されている
- 小口化が容易で、個人投資家から資金を調達しやすい
普通の金融商品は、証券取引所が開いている平日日中(9:00~15:00)の間でしか取引できない場合が多いです
しかし、ブロックチェーン上にある取引を記録するネットワークは常に稼働しており、技術上は24時間365日が取引が可能となります
またデジタル証券は、ブロックチェーン技術で取引記録が管理されているため、取引データが改ざんされる可能性が極めて低く安全であることも特徴です
さらに、不動産や設備など目見える現物が裏付けとなっていることや、金融商品取引法で法整備されているため、これまで多発していた「仮想通貨投資を謳った詐欺」などが非常に起きにくいことも安全性を高めている要因です
また、発行体側(企業)は、個人投資家から資金を集めようと金融商品を小口化すると、分割した分だけ証券会社へ手数料を払わないといけないため、管理コストが高く敬遠されてきました
ブロックチェーンは、個々の取引情報を管理・監査する特定の管理者(システム)が不要になり、低コストで細分化(小口化)でき、資金調達をしたい企業はあらゆる保有資産を金融商品として販売しやすくなります
われわれ個人にとっては、不動産やインフラ設備、映像やゲームのコンテンツ等、幅広い投資商品に触れる機会が増えるメリットがあります
東海東京FHはこのアジア各国と連携以外にも、ブロックチェーン開発のスタートアップ企業へ投資を拡大しているそうです
デジタル証券の全体像やメリットが分かると、なんとなく今回の動きの背景や理由が見えてきますよね
もしこの記事をきっかけに、デジタル証券についてもっと知りたい!、という方がいらっしゃいましたら、日本の事例は少ないですが、三井物産、SBI証券、三菱UFJが実際にデジタル証券を発行してる記事もございます
ご興味があればご覧になって頂けたらとおもいます